ココピアをご卒業されたMさん(50代、男性)に、ココピアに通所することになった経緯、ココピアでの生活、卒業を決めてからの準備や気持ちの変化、ココピアを経て現在思うことなど、色々なお話を伺いました。
就労継続支援施設ってどんなところ?と思われている方、たくさんの就労継続支援施設の中でどこに通ったら良いか迷われている方、ココピアに興味があるよという方、ぜひ最後までお読みください!
―Mさん、本日はよろしくお願いします!まずは、ココピアに通うまでどのような生活を送られていたか教えてください。
地元の中小企業の障害者枠で働いていました。仕事内容はいわゆる事務職で、伝票作りなどの業務が主でした。中小企業ということもあって、自由度がかなり高かったので、楽しく働かせてもらっていました。
しかしある時、会社の事情で転職を考えることになったんです。
もともとITに興味があったのですが、IT系の会社に障害者枠で働くには、体調面で少々難しさを感じていたので、実際にはあまり就職活動を行いませんでした。
なかなか思うように転職活動が進んでいなかった時に、お世話になっている支援者さんからココピアが開設することを聞きました。
―ココピアに通うと決めるまでには、どのような気持ちの変化があったのでしょうか。
ココピアの事業内容を聞いて、すごく意欲的だなと感じ、「こんな話聞いたことない!」というのが最初に思ったことでした。とても興味が湧いたという感じでしょうか。大丈夫かなと思いながらも「社長に会って、話を聞いてみてから決めれば良いか」と、すぐに問い合わせをしてみました。
実際社長に会って話を聞いてみたら、やっても良いかな?という気持ちになったのですが、一方で迷いも出てきました。
迷いというのにも色々あって、まずは体力や業務内容からみて自分にこなせるのか?ということ。あとは障害者雇用からA型事業所に移るのは一般的ではないと思うので、そういう選択をして本当に良いのか?ということでした。
数ヶ月後にやっと通うことを決めたのですが、最後は「えいやっ」という飛び出す気持ちでした。
IT系の仕事をしてみたかったというのが決めた理由としてありますが、一番は「興味」だと思います。ぜひ体験してみたい、やってみたいという気持ちに従った感じでした。
―すごく興味を持って下さっていたんですね!実際に通い始めてから、通い始める前との変化はありましたか。
はじめは結構大変でした。私は睡眠に課題があったので、睡眠不足や気分が変動する中でも、業務中はそれなりの集中力やパフォーマンスを維持しなければならないというのが大変でした。一日の業務を終えると頭が結構疲れる、、そんな状態でした。
続けているうちに、だんだん記事ライティング(ココピアの主な業務)は自分に合っているなという気付きがありました。
通い始めて1年後には、業務に対して十分に自信が持てていたと思います。体調が安定してきた時期もこのくらいでした。それに伴い、少しずつ難易度の高い記事も担当するようになりました。
―ココピアではどのように過ごされていましたか。
午前中は記事ライティング、お昼休みが1時間入って、午後も記事ライティング、という一日でした。
私の場合、昼休みはランニングをするなど主に身体を動かして過ごしていました。職場が観光地なので、とても良い気分転換になりました。
あとは近くに地活(地域活動支援センター)があったので、そこで昼食をとるなどしていました。
2年目くらいからは、職員との面談を週1回、1時間程度行うようになりました。
―事業所の雰囲気はどうですか。
仕事中は非常に静かで、みんな業務に専念しています。連絡などは口頭でのやりとりが主ですが、ビジネスチャットで連絡を取り合う場合もあります。
昼休みは交流できるスペースがあって話をしている人もいますが、それほど多くはなくて、交流が盛んな印象ではないです。
私はコミュニケーションが得意ではなかったので、なかなか話せず。。内心もっと話せるようになりたいと思っていましたが、あまり話せずランニングをしていました(笑)。
―Mさんはお昼休みになると颯爽と走りに行っていた印象があります(笑)。お昼休みの過ごし方が午後の仕事の生産性にも繋がるので、休みの使い方は大事ですよね! Mさんは、ココピアではどのような業務を担当されていましたか。
私はほとんどライティング業務を担当していました。「webライティング」というもので、web上にある記事を書くという業務です。テーマや目次を与えられて、それに沿って記事を執筆していきます。はじめは執筆のみでしたが、段々と目次(どういう流れで記事を執筆するか)の作成も任されました。そのほか、コメントを分類して整理する業務も一時的に行っていました。
―担当した中で、楽しかった業務はありますか。
楽しかった業務は、リサーチです。リサーチというのはテーマや方向性に沿ってネット上の情報を調べて整理する作業。記事にするにはどうしたら良いかを調べて考える作業です。はじめは分からないけれど、調査して考えて、これでいこう!と良いアイデアが浮かぶ瞬間が、一番楽しかったです。コピペで作った記事ではなく、納得のいくものを完成させるためにとても大事な工程だと思います。ココピアはそこに時間をかけさせてくれたので、私にとってはありがたい環境でした。
―通っている中で印象に残っているエピソードはありますか。
ココピアでは毎年クリスマス会をやっているのですが、開設後初めてのクリスマス会で、スタッフさんが場を盛り上げようと頑張っていたことが印象に残っています(笑)。
その他だとB型事業所と合同で行ったバーベキューも思い出です。美味しかったし、B型の利用者との交流にもなって楽しかったです。
あとは通う前の話になりますが、社長と初めて会った時のほとんど何もない事業所。「開設前ってこんな感じなんだ」と思ったのを覚えています。
―ココピアで2年程過ごされましたが、ココピアからの卒業を意識し始めたきっかけはありましたか。
きっかけは、スタッフに現在通所している自立訓練を紹介されたことでした。
紹介されるまでの経緯をお話しすると、もともと両親が高齢になってきたこともあり、一人暮らしを考え始めていました。一人暮らしをするには、仕事のスキルだけではなくコミュニケーションスキルも必要だと思っていたのですが、自分は発達障害なので、苦手なコミュニケーション面をどうしたら良いかという悩みを持っていました。そこでまずは、カウンセリングを受けることにしたんです。カウンセラーと話をする中で、コミュニケーションや気分を安定させるために、自分でできることがたくさんあることが分かってきました。悩みの解決に向けて早めに進んでいきたいという気持ちが強かったこともあり、カウンセリング自体は継続しつつ、「コミュニケーションを改善するにはどうしたら良いか」というトピックで、ココピアでもスタッフとの面談を頻繁に行うようになりました。
とはいえ、面談でのコミュニケーションと、実際の関わりの中でのコミュニケーションはやはり違います。そんなタイミングで、より専門的な支援を受けられる機関として自立訓練を紹介されました。
仕事きっかけではなく、コミュニケーションや気分の改善がきっかけで卒業を意識し始めたということになります。
―ご自身の中で卒業を決められてから、実際に卒業されるまでの間、気持ちの変化が大きかったと思います。どのように気持ちを整えていかれましたか。
卒業を決める前に、まずは自立訓練の体験利用に応募しました。実際に体験をしてみて通いたいと思ったのですが、ココピアも好きだったので迷いがありました。すぐにはどちらかを選ぶことができなかったので、2ヶ月間併用をして、段々と気持ちを整えていくことにしました。その2ヶ月の間に「今は自立訓練でやるべきことが自分にとって重要だ」という結論が出て、ココピアを卒業し、自立訓練1本にする決断をしました。決断をした前後は、本当に正しい選択をしたのだろうか?やっていけるだろうか?という気持ちの動揺が、かなりありました。
そんな中で、ココピアのスタッフから「〇〇さんは変える前は動揺するけれど、変えてしまうと落ち着いて、むしろその状況を楽しみ始めるタイプ」と言われました。その言葉も後押しになりました。
―卒業されて1年程経ちますね。現在はどのような生活を送られているか簡単に教えてください。
今は自立訓練に週5日ペースで通っています。
ココピアは楽しかったので、数ヶ月に1回は来所して、スタッフと面談をしています。自分の状況とココピアの状況のシェアという感じです。
ココピアから自立訓練に来た人や、自立訓練からココピアを受けた人がいるので、その人達から情報を聞いたりもしています。
―ここからは“ココピアを経た”現在のお気持ちをお聞きしたいと思います。卒業されて「ココピアの経験が活きているな」と感じることはありますか。
ココピアでの生活は、“柔軟で意欲的な”考え方が身に付き、強化された経験だったと思います。
自立訓練に通うとき、はじめは心理的な壁のようなものを感じたのですが、乗り越えることができました。それは、周りに「これは無理だよ」と言われていたレベルの高い業務内容をこなせたことが大きいと思います。やればできると思えました。これができるということは、意欲とか知性という部分で、色々なことに挑戦できるんだという自信になりました。
またライティングという業務そのもののスキルを得られたことも大きいと思います。ライティングは汎用的なスキルだと思っています。今度色々な場面で使えるスキルを身につけることができ、能力的な面での自信もつきました。チャレンジングなことができたことで、次に進める自信になりました。
―就労支援施設に対するイメージは、利用する前と後で変わりましたか。
就労継続支援施設を利用するのは初めてだったので、事前に特別なイメージは持っていませんでした。そうはいっても、もっと簡単な業務や単純作業が多いと思っていたので、ライティングという業務内容を聞いて非常に新鮮なイメージを持ちました。一番はじめの質問でもお話ししましたが、障害者雇用からA型事業所という流れは一般的ではないので、自分の中での抵抗感は確かにあったと思います。だから何度も面談したし、体験もしました。そのうちに「自分が今したいことはこれだ!」と思うようになりました。だんだん納得していった感じです。
逆に業務内容から想像すると、A型だからといって、中小企業よりも緩い・軽いとは限らないので、体調管理が心配になったこともありました。ただケアの手厚さが違うので、そこは安心できました。
―ココピアのここが良い!ここがおすすめ!ポイントがあればぜひ!
何かを調べて文章にまとめることが好きな人に向いていると思います。社長が言っていましたが「調べる・考える・表現する」ことは汎用性が高いスキルなので、ライティング自体に関心がない人でも、今後働いていく上で役立つスキルだと思います。
就労支援施設のイメージだと、あまり難しい仕事をしないと思うかもしれませんが、ココピアはかなり高度な仕事を体験できます。そういうことに興味がある人には良いかもしれません。
ただ、働くというのはそれだけではダメなので、人によっては体調管理・仕事のコミュニケーションのとり方など、別途取り組む必要があるかもしれません。
就労支援施設の中で、これだけ面談をしてもらえる施設は少ないと思うので、スタッフと相談しながら課題の改善に向けて取り組むことができると思います。
―ありがとうございます!最後にココピアへの通所を検討中の方に、メッセージをお願いします。
頭で考えているだけだと情報量が少ないと思うので、まずは体験利用や相談などをした方が良いと思います。具体的な経験をもとにして考えることで、自分に合っているか、やっていけるかという答えを出しやすいですし、利用するにしてもしないにしても、ちゃんと答えを出したという選択後の満足度が高まると思います。
ちょっと勇気が必要かもしれないけれど、体験・相談をしてから細かく考えよう!と伝えたいです。
―Mさん、貴重なお話をありがとうございました!!引き続きよろしくお願いします。
ココピアに入所されてからずっと、ご自分の課題に前向きに取り組まれていらっしゃいました。その姿を見て、私たちスタッフも勇気づけられる瞬間が多々ありました!
今後もMさんの人生が明るいものとなるよう、微力ながらサポートさせていただきたいと思います。
ココピアにご興味持って下さった方、ぜひお問い合わせください。
お待ちしております!